認知症ってなに?

認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活する上で支障が出ている状態を指します。 現在全国で462万人の認知症高齢者がいると推計されています。

認知症の種類   

ひとくくりに認知症といってもさまざまな種類の認知症が存在し原因や症状も違います。
アルツハイマー型認知症(全体の5割)・レビー小体型認知症(全体の2割)・脳血管性認知症(全体の2割)
・その他(1割)

症状

症状は認知症の種類や脳が障害を受けている部位などによりさまざまです。物忘れ、理解、判断力の低下、時間や場所が分からなくなる、不安が強い、人柄が変わる等があらわれます。

単なる物忘れと認知症の物忘れは違います   

年をとると誰でも忘れっぽくなりますが、たとえば、食べたメニューを思い出せないのは、単なる物忘れです。しかし、もし食べたこと自体を覚えていなければ認知症の可能性があります。

認知症の方への接し方

まず介護する方がしっかりと認知症は病気なんだと理解することが大切です。認知症の方はちぐはぐな話や勘違いをすることがありますが、否定せずにまず受け入れ、やさしく対応しましょう。

認知症になった方の「心」       

「認知症だからって、本人が何もわかっていないのは」誤りです。
物忘れが増えたり今まで出来たことが急にできなくなったりと、ご本人が一番戸惑い不安になっています。
その「心」を介護者は理解し寄り添うことが必要です 。症状が進行し言葉で自分の意思を表現できなくなってからも今まで生きてきた誇り、子供や動物、植物などを慈しむ気持ちなど、豊かな感情は保たれているのです。

具体例1(物盗られ妄想)               

記憶障害があるために片づけた事や場所を忘れたしまうことがあります。本人はパニックになり正常な判断が出来なくなり身近な人(家族など)に「あなたが盗ったんでしょ!」といった事になりがちです。
そんな時には本人の気持ちを逆撫ですることのないようやさしく接し「それは大変ですね。」と共感してあげるのがよいでしょう。そして一緒に探してあげて、本人が見つけ出せるように「この引き出しの中は?」などと誘導したり見つかった時には一緒に喜んだりするのが効果的です。

具体例2(ご飯まだ?)

こちらも記憶障害があるために先ほど食事した事自体を忘れてしまい「ご飯まだ?」となります。
本人の認識ではご飯は食べていないことになっているので「さっき食べたでしょ!」と叱ると「私だけご飯を食べさせてもらえない、いじめを受けている」と思い込んでしまい、さらに違う症状がでてくる悪循環になることも。
そんな時には「今、準備していますから先にこれを食べててね」といってフルーツや軽食をだすのがよいでしょう。
食べすぎが気になるときには、あらかじめ一食分の食事量を減らしておいて、残りをおにぎりにして出すなどもよいでしょう。

具体例3(トイレ以外の場所で排泄してしまう)     

見当識障害などによりトイレの位置がわからない、たどり着けないことがあります。
そんな時にはトイレの扉に大きく(トイレ!)と張り紙をしたり、自室からトイレまでの壁に矢印をつける、もしくは夜間はトイレの明かりをつけ扉を開けておくと、明かりが目印になり迷わず行ける場合もあります。
また、介護用品でポータブルトイレもあります。自室に置くことで失敗が減少することもありますので利用を検討することもよいでしょう。
排泄の失敗は本人にとって、大変なショックです。プライドを傷つけないような気遣いが大切です。